高速に施策を回す Under Armour / Well Pharmacy / NerdWalletの例

2021.03.10

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本記事はAmplitude社より許諾を得て株式会社DearOneが翻訳、転載しております。

トップクラスの業績を誇る企業は、プロダクト(製品)に関する質問に即座に答えられる状態であれば、データを生かして急速な成長を達成できます。

プロダクトリーダーの皆さんは、自社のチームがユーザーのニーズに柔軟に応じ、優れた製品を開発するにはいかにイテレーション(高速に施策を回すこと)が重要であるか、ご存知でしょう。しかし、明確かつアクセス可能なデータがないままイテレーションを行うと、以前行った変更を検証することに時間がかかりすぎ、オーディエンスに合わない製品や機能に帰結したり、スケジュールが遅れたりなど、ローンチサイクル全体で問題が生じることがあります。

この現象を深く掘り下げるべく、Amplitude は 350 人を超えるデジタル製品の意思決定者を対象に、プロダクトインテリジェンス・レポート(調査、英語)を実施しました。その結果、69% のチームが、データに関する単純な質問への回答を得るのに数日から最長 1 週間、待たねばならない状態だと分かりました。

その 69% のうち:

  • 39% が必要な回答を待ち、プロジェクトの遅延が発生しています。
  •  ほぼ 60% が「証拠」ではなく「直感」に基づいて、そのまま先に進んでいます。

同調査ではまた、プロダクトインテリジェンス・ツールから明確でアクセス可能な高品質のデータを得ている企業は、前年比 25% 以上の成長を遂げる可能性が(そうでない企業よりも) 5.5 倍、高いことも明らかになりました。

Well Pharmacy(ウェル・ファーマシー)、NerdWallet(ネルドワレット)、Under Armor(アンダーアーマー)の 3 社の実例は、プロダクトチームにとって顧客に関する知見が必須であることを浮き彫りにしています。3 社はそれぞれプロダクトインテリジェンス・ツールを使用し、より迅速な意思決定を行い、顧客をより深く理解し、さらに、十分な情報に裏付けられた「大きな賭け」に出てプラットフォームを改善しました。

英 Well Pharmacy: ファネルを使用し、コンバージョン率を向上

前述の調査に回答した多くの企業同様、薬局チェーンのWell Pharmacy 社の製品チームは、信頼性のあるデータを常に使うことができない状態にありました。Well Pharmacy 社 は独立系としては英国最大、全体では同国第 3 位の薬局チェーンであるにもかかわらず、です。高品質のデータにアクセスできないことは、同社のプロダクト開発の足かせとなっていました。同社の以前の分析プラットフォームでは、表層的なレベルのデータは得られました。しかし、顧客に関する深い知見を取得することは不可能でした。特定のイベント後にユーザーがどのような行動をとったかなど、重要な情報は欠落した状態。結果として、Well Pharmacy 社の製品チームは追加した各種変更を検証するため、より頻繁にテストを行わねばなりませんでした。

最終的に、Well Pharmacy 社は製品チーム全体が理解できるプラットフォームを介し提供される、正確かつリアルタイムな分析ツールに切り替えました。これにより、製品チームはフィードバックループの長さを数週間から数分に短縮できました。また、チームは登録プロセス中に多くの顧客が離脱していた理由を始め、以前は得られなかった知見を即座に発見できるようになりました。

ファネルのどこで顧客が離脱するのかを特定することにより、Well Pharmacy 社の製品チームは重要な傾向を認識。登録プロセスにおける「Eメールアドレス確認」のステップが、ほぼ即座に顧客をウェブサイトから「追い出して」いたのです。

Eメールアドレス確認を登録プロセスの別の部分に移動することで、コンバージョン率は 30%増加しました。より多くの顧客がオンライン薬局を利用できるようになったため、実店舗の担当者のストレスも軽減。店舗では顧客が尋ねる基本的な質問の数が減り、薬剤師とカスタマーサービス・チームは、来店した顧客に最善のアドバイスを提供することに集中できるようになりました。

NerdWallet:  セグメントを作成し、リテンションを向上

個人を対象とする金融情報サイトやアプリを展開するNerdWallet 社は、ビジネスが拡大し始めると、成長の維持にはユーザーに関するいっそう深い知見が必要だと認識しました。

NerdWallet 社のデータ・チームは、アクセスしやすく有用なプロダクトインテリジェンスを用い、ユーザーエクスペリエンスの改善ならびに顧客にリピートしてもらう方法を素早く特定。

初期の観察では同社のチームはアプリのロード時間など、バックエンドのエンジニアリング面での判断がリテンションに及ぼした影響を確認しました。セグメントとコホートを作成することで、起動時に要するプロセスに加えた変更が、ユーザーの行動にどのような影響を与えたかを比較することが可能に。この情報をもとに、NerdWallet 社はロード時間を12 秒から 5 秒に 短縮しました。

即座にアクセス可能かつリアルタイムのアナリティクスを使用できるため、NerdWallet 社のチームはコンバージョンの促進に向けて小規模な実験を行えるようになりました。さらに、Amplitude のファネルを用い、チームはユーザーのモバイルアプリとウェブサイトにおけるクリックスルー率(CTR)の間に大きな差があることに気付きました。ウェブサイトでの CTR は、モバイルユーザーのものよりも 2 倍も高かったのです。

また、A/Bテストで実験を行うことにより、オーディエンスの心に響くキャンペーンを作成できました。微調整のみで迅速な測定が可能になった NerdWallet 社は、モバイルのクリックスルー率の 200%増加を達成しました。

NerdWallet のエンジニアリングマネージャー、Sam Dalton(サム・ダルトン)氏は次のように述べています。

クリックスルー率を実際に伸ばす要因を発見するのは、必ずしも思いどおりにはいきません。測定が迅速にできることで、非常に助かっています。完璧なソリューションだと考えるものを追求したあげく、ユーザーが欲しているのは違うものだと気づく…など、時間を無駄にせずに済みます

Under Armour:  コホートを作成し、「大きな賭け」に出る

Under Armour・コネクテッド・フィットネスは、MapMyRun(マップ・マイ・ラン)やMyFitnessPal(マイ・フィットネス・パル)を始めとする、日常的に運動に励む人(アスリート)のためのフィットネスアプリを広範に提供しています。Amplitude を使用する以前、同社のプロダクトマネージャーは、データを得るにはプロダクトアナリストに要請する必要がありました。プロダクトアナリストは、プロダクトマネージャーが求める情報を得るまでに、時間のかかる SQL クエリーを何度も繰り返し実行せねばなりませんでした。

その後、Under Armour 社はプロダクトインテリジェンス・プラットフォームを導入。実験に要する時間は 3 カ月から 1 カ月に短縮しました。実験サイクルの短縮により、同社は素早く測定および事実の把握が可能になったため、ユーザーの役に立たないプロダクトの機能の開発に無駄にリソースを費やす心配がなくなりました。さらに、リテンションと機能のエンゲージメントに焦点を当てた大規模アップデートを相次いで行うことが可能になりました。

検証にかかる時間が減ったことで、Under Armour 社のチームは新機能の開発について、「大きな賭け」に出ることが可能に。そのひとつが MapMyRun アプリでユーザーのランニング・フォーム改善をサポートし、リテンション率を高めることでした。ユーザーが怪我をせずにランニングを継続できるよう支援することで、アプリを使い続けてもらう狙いです。

上述の仮説をもとに、Under Armour 社のチームは MapMyRun アプリ内に新機能 Form Coaching Tips(フォーム・コーチング・ティップス)を搭載。同社はコホート、セグメンテーション、リテンション・トラッキングを用い、新機能がユーザーに好評か否か、評価しました。チームはすぐに Form Coaching Tips は成功しており、ユーザーの7日目におけるリテンション率を30%押し上げことを確認しました。

プロダクトインテリジェンス・ツールは、新機能に関する同社の「構築・測定・学習サイクル」を短縮するのみならず、既存製品の魅力を高める方法を発見する上でも役立ちました。

例えばセグメンテーション・チャートを見て、製品チームはアプリの「レース・トレーニング・プラン」のユーザーエンゲージメントが低いことを認識。Under Armour 社のチームは、同プランを再設計し、より幅広い目標に対応させました。さらに行動コホートを作成し、加えた変更の長期的な影響を確認可能に。このアップデートは奏功し、プランを利用する有料ユーザーは 3倍に増加しました。

データを生かしたイテレーション

プロダクトインテリジェンス・レポート(調査、英語)が示すとおり、プロダクトに関する意思決定者の多くにとって、チームが高品質で実用的なデータをリアルタイムで使用できるプラットフォームの整備は難しい課題です。一方、プロダクトインテリジェンス・ツールを活用している企業は、同ツールを持たない企業に比べ、少なくとも週に 1 回は新規リリースを行う可能性が、6 倍も高くなっています。ユーザーデータに容易にアクセスし、理解できるようになれば、プロダクトチームは待つ必要がなくなり、すぐにイテレーションを開始できるのです。

さあ、プロダクトインテリジェンス・ツールを使って製品チームのイテレーションを高速化しましょう。まずはAmplitude – Watch a Tourしてみてください。

本記事はAmplitude社より許諾を得て株式会社DearOneが翻訳、転載しております。
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公開日:2020/12/17
ヘイリー・サカエ(Hayley Sakae)氏

ヘイリー・サカエは Amplitude のソーシャルメディア・マネージャーです。サカエは全オーガニックチャネルおよび従業員のアドボカシーを統括し、ソーシャルで社内外のプロダクト・リーダーとグロース・リーダーへのリーチ、双方の間のエンゲージメントを促進しています。

引用元:Amplitude社ブログ

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