リテンション率の計算式: 取り入れるべき 2 つの要素とは?

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本記事はAmplitude社より許諾を得て株式会社ロケーションバリューが翻訳、転載しております。

 リテンション率の算出に取り入れる 2 つの要素を明らかにすることにより、企業は最適な計算式を選ぶことができます。

リテンション率は、プロダクトの「健全性」を判断する上で重要な指標のひとつです。これは、プロダクトを初めて使用したあと、再び利用するに足る価値を(その製品に)見出しているユーザーの数を示すものです。しかし、ユーザーが自社のプラットフォームに再度アクセスしたことを把握するだけでは、より優れたプロダクトを構築することはできません。自社の中核的な価値提案(バリュー・プロポジション)に沿う、ユーザーによる具体的なアクション、およびその完了にかかる時間も加味することで、リテンション率の計算式は、プロダクトに対するユーザーの評価をさらに正確に表す指標となります。

一般的なリテンション率の計算式は、単なる「出発点」

リテンション率は、長期にわたり自社のプロダクトやサービスを使用し続けるユーザーの割合です。一般的なリテンション率の算出方法は、次のとおりです。

特定期間の最後におけるアクティブユーザー数 ÷ 特定期間の始めのアクティブユーザー数

ただ、これは氷山の一角に過ぎません。リテンション率の計算式に用いる「期間」は、リテンション率の測定方法によって異なります: 任意の 1 日におけるリテンション(N-Day Retention)、特定期間内の断続的なリテンション(Bracketed Retention)、または特定の日以降のリテンション(Unbounded Retention)のいずれかです。では、どの方法を使用するかの決め手となるのは? ユーザーの自社プロダクトとの関わり方(エンゲージメント)、および想定されるユーザーの製品使用のペースです。

また、単に「アクティブな」ユーザー数の測定のみならず、より具体的な情報も得ることができます。既存ユーザーのリテンション率、新規ユーザーのリテンション率、あるいは復活したユーザーのリテンション率を測定し、ユーザーの活動を掘り下げることが可能です。

リテンション率を意味あるものにするには、こうした要素のそれぞれを詳しく調べるべきです。ビジネスに適したリテンション率の計算式を作成するには、以下の 2 つを特定することから始めましょう。

  • ユーザーに実行してもらいたいアクション、または重要なイベント
  • ユーザーによるプロダクトの使用間隔、またはユーザーにそのアクションを取ってもらいたい具体的な期間

インプット 1:ユーザーに実行してほしいアクション

自社のビジネスにとって、「維持しているユーザー」が持つ意味を理解するには、まず自社プロダクトにおける重要なイベント(クリティカル・イベント)、つまりユーザーに最も取ってほしい具体的なアクションを特定する必要があります。このアクションは、ユーザーに価値を提供しつつ、自社の価値観や目標との整合性が高いものであるべきです。大多数の企業は、重要なイベントをプロダクトごとに、ひとつ設けています。

測定するイベントは、業種により様々です。モバイルゲームのデザイナーは、ユーザーにゲームを進めてほしく、食料品の宅配企業はユーザーに注文をしてもらいたいと考えています。

金融プラットフォームを運営する米国企業 Dave(デイブ)社は、ユーザーが自身の口座に定期的な支出を追加することが重要なイベントだと認識していました。同社がオンボーディング・プロセスを変更し、このステップを強調したところ、リテンションは大幅に向上。オンボーディング中に定期的な支出を追加したユーザーが、3カ月後に同社のアプリを使用し続けている可能性は 5.7 倍に拡大しました。

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どのようなアクションの重要性が高く、リテンション率の計算式に含めるべきかを判断するには、次の質問をご自身に投げかけてみてください。

  • 提供しているプロダクトはどのようなものか?
  • ユーザーは、各プロダクトからどのような価値を得ているのか?
  • 全ユーザーがあるアクションを実行し始めたとして、ご自身が最も嬉しくなるアクションとは?
  • ユーザーに最も実行してほしいアクションは何か?

重要なイベントを加味することで、自社のプラットフォームに維持したいユーザーを、より正確に反映するリテンション率の計算式が作成できます。

インプット 2: ユーザーが重要なアクションを実行する期間 

リテンション率の計算式で 2 番目に大切な要素は、特定した「需要なイベント」を、ユーザーが完了するまでの期間(タイムフレーム)です。プロダクトをユーザーが使用する間隔は、重要なイベントごとに異なります。バケーション予約サイトなら、ユーザーは年に 2 回、休暇のための予約を行うと想定できます。しかし、瞑想アプリでは、ユーザーが年に数回しかログインしないとなれば、心配でしょう。

リテンション率の計算式を有効なものにするには、ご自身のビジネスに最適なプロダクトの「使用間隔」を明らかにするべきです。すなわち、大多数のユーザーが、2 回目に重要なアクションを取るまでにかかる時間です。このような使用間隔を決定するには、以下の 4 段階のフレームワークを活用してください。

  1. 特定の期間内に重要なイベントを完了した全ユーザーからなる行動コホートを作成します。その期間は、ユーザーがおのずとプロダクトに戻ってくると想定される期間よりも、長く設定してください。出発点として、 60 日間をお勧めします。
  2. ユーザーが、アクションを 2回目に完了するまでの時間を記録します。
  3. ユーザーが 2 回目にアクションを完了した時点を示すグラフを作成しましょう。ユーザーの経時的な分布を簡単に把握できます。
  4. 自社プロダクトの「使用間隔」は、ユーザーの 80% が、2回目に重要なアクションを完了するまでとします。

使用間隔を確認した後、その情報に基づいて、リテンション率の計算式を実際に活用し始めることができます。時間の経過に伴う定着率の算出には、次の 3 つの方法があります。

  • 任意の 1 日におけるリテンション(N-Day Retention): ある 1 日に、重要なイベントを実行したユーザーの割合。使用間隔が一貫しており、また一定の期間となっている場合に役立ちます。例として、ユーザーに毎日、ログインしほしいフィットネスのトラッキング・アプリが挙げられます。
  • 特定の日以降のリテンション(Unbounded Retention): 特定の日以降に重要なアクションを実行するユーザーの割合。使用間隔がやや散発的な場合に有効です。この計算式は、例えば食料品の宅配アプリであれば、アプリを使用し始めた最初の 1 週間以降に注文を行ったユーザーの割合を確認するために使用できます。
  • 特定期間内の断続的なリテンション(Bracketed Retention):  特定の期間内に重要なアクションを実行したユーザーの割合。他の 2 つの計算式に該当しない使用間隔に活用できます。例えば、顧客が 10 日から 14 日ごとに在庫を補充すると思われる、生鮮食品以外の家庭用品を販売する E コマースサイトなどに適しています。

ご自身のビジネスにいずれの計算式が最適か不明な場合、異なる方法をいくつか試してみてください。リテンションに関する複数の知見を生かすことにより、提供プロダクトのパフォーマンスを正確に把握することができます。

効果を生むリテンション率の計算式

ユーザーが自社のプロダクトに戻り、何かしらのアクションを取る、というだけでは十分ではありません。再びプロダクトを使用する際、ユーザーには価値の高いアクティビティを完了してもらいたいものです。すなわち、ユーザーがプロダクトの価値を理解しており、ユーザーであり続けることを示すアクティビティです。リテンション率の計算式を調整し、この重要なイベントを取り入れてください。自社のプロダクトがどの程度、ユーザーを惹きつけているか、また、ユーザーのためにいかにプロダクトを改善できるか、いっそう明確な理解を得られるでしょう。

 

本記事はAmplitude社より許諾を得て株式会社ロケーションバリューが翻訳、転載しております。
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公開日:2020/10/26
ネイト・フランクリン(Nate Franklin)氏
フランクリンは、Amplitude でプリンシパル・プロダクトマーケティング・マネージャーを務めています。元プロダクトマネージャーであり、自称「製品オタク」でもあるフランクリンは「了解、では我々のゴールは?」という質問を頻発しています。

 

引用元:Amplitude社ブログ

【著者紹介】

グロースマーケティング編集部

編集部やスタッフが、プロダクトのデータ解析や継続率改善など、
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